保護犬を家族に迎え入れた人々の「こんなにも幸せをもたらしてくれる犬たちのために、自分たちにできることはないか」という思いが生んだ一冊だとのこと。15人の筆者が、今や愛犬となった「元保護犬と楽しむ暮らし」を綴ってくれていますが、それだけではありません。保護犬先進地域であるポートランドやドイツの事情や、元保護犬の成長日記、獣医師の思い、保護犬の出会い方・迎え方のハウツーも紹介されています。そして巻末には、50匹以上の保護犬写真集。
保護犬を迎え入れる方々には、過去の事情や経緯は知らされないそうです。当初は怖がりで、臆病で、警戒心が強く、不安そうで、甘えることを知らず、散歩にいきたがらなかったり、よく吠えたり、逃げ出したがったり、中にはおもらしまでしてしまう元保護犬たちの様子から想像するしかないわけです。それぞれ異なる事情を抱えていたのでしょうが、愛情を注ぐことで次第に心を開いてくる元保護犬たちの存在が、かけがえのないものに思えてくることは共通していますね。もちろん家族同様ということは、高齢化や病気など命に係わる場合も責任を持つということです。
ちなみに、ペットショップで純血種の犬を店頭に展示して売買しているのは、先進国の中では日本くらいだとのこと。たとえばポートランドのペットショップは、譲渡会を開いたり育て方を指導したりする「保護団体の養護代理人」となっているとのこと。日本の保護犬事情、ペット事情は遅れているわけですが、一朝一夕に追いつくことなどありません。本書のような試みを通じて、地道に浸透させていくほかはないのでしょう。私のマンションはペット禁止ですが、妹夫婦は保護犬を飼っています。可愛い黒柴のおばあちゃんワンコです。
2023/4