りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

マルドゥック・フラグメンツ(冲方丁)

イメージ 1

マルドゥック・スクランブルマルドゥック・ヴェロシティに書き記されなかった3作の短編と、第3部アノニマスの序章ともいうべき2作の短編からなる作品です。

マルドゥック・スクランブル“104”」
ウフコックとボイルドがペアを組んでいた時期に起きた事件。「法的取引」が過度に浸透したシティで2人は、デザイナーズベビーとして生れた銃嫌いの女性研究官を保護できるのでしょうか。

マルドゥック・スクランブル“-200”」
同じく2人がペアを組んでいた時期の事件です。親族が次々殺されていく大企業社長の孫娘を保護することになるのですが、軟体動物のような異形の暗殺者の正体と依頼人の秘密が意表を衝いてくれます。

「Preface of マルドゥック・スクランブル
スクランブル』本編以前、ウフコックによる潜入捜査によってシェルはターゲットにあげられていたんですね。でもこの時期の「09」メンバーはウフコックとドクターだけでしょうから、できることは限られていたのです。

「マルドゥック・アノニマスウォーバード”」
アノニマス』の導入部でしょうか。「09」の新たな仲間たちである、超高速運動能力のメイヒュー、軟体生物のダーウィン、化学工場のイーサン、研究者のエイプリルが登場。不死の犬や不可視の犬を操る「猟師」の存在はまだ謎に包まれています。

「Preface of マルドゥック・アノニマス
ウフコックが潜入捜査で作り上げた匿名のレポートが紹介されます。不治の病に感染した邪悪な美少女ノーマ・オクトーバーが巨悪的存在のようです。かつての「カトル・カール」のような直接の敵となるのは、マスタマインド率いる「クインテット」や、「POH」なる犬の群れや、サラノイの臓器から生れた異形の子どもたち「ウェンディ・エンジェルズ」。シティに広がった「シザーズ」の存在も不気味です。ウフコックは死んでしまうのでしょうか。バロットは彼を救出できるのでしょうか。

他には『ヴェロシティ』をボイルドの視点から捉えなおした断片的な作品、『スクランブル』冒頭部分の初期原稿、著者へのインタビューが併録されています。

2013/5