りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

紅だ!(桜庭一樹)

東京の新大久保、コリアンタウンから超多人種都市へと変貌しつつある街に事務所を構える「道明寺探偵屋」の社員は2人だけです。創業者であった道明寺葉は不審な火事で命を落ちしており、社員であった真田紅(くれない)と黒川橡(つるばみ)だけが細々と活動を続けているのです。テコンドー選手として出場したオリンピックで失態を犯した過去を持つ30歳女性の紅は武闘派であり、警察からも頼りにされる20代男性の橡は理論派なのでしょう。

 

ある日、武器を手にした物騒な連中に追われている少女を成り行きで助けてしまった紅は、その少女「ハイタカ=雛月」にダークウェブで多額の懸賞金がかけられていることを知らされます。まだ15歳の少女は、いったい何をしたというのでしょう。そのころ橡は、全国各地のATMからいっせいに偽札が発見された事件について公安警察から相談を受けていました。少女と偽札事件とは関りがあるのでしょうか。彼女はどんな秘密を抱えているのでしょうか。

 

「社会正義や共同体の在り方について悩み、お互いを見つめ直す探偵コンビ」を描く作品とのことですが、本書だけでは著者の真意は理解できません。道明寺葉の不審死の理由も謎のままですし、そもそも彼女は亡くなっているのでしょうか。「多人種都市・大久保で蠢く少女」という設定は魅力的ですが、逃亡を果たした少女がシンガポールインフルエンサー実業家「雀鷹」となって再登場する近未来も意味不明です。きっと続編があるのでしょう。それより未完のままの「GOSICシリーズ」の続編を読みたいのですが・・。

 

2023/2