りぼんの読書ノート

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謎が解けたら、ごきげんよう(彩藤アザミ)

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「華やかな大正時代を経て、世界恐慌と情勢不安の煽りを受け、日本中が貧しくも享楽的な明るさを持っていた」昭和6年。小説家の母を持ち女学校に通う14歳の茜を中心に結成された「昭和少女探偵團」のシリーズ第2弾。

 

メンバーは、川島芳子の異母妹で天才的な推理力を持つ夏我日潮。「電気ガール」の異名を持つ発明家の卵の丸川環。本物の華族令嬢である見留院紫。茜の役どころは推進役と纏め役とワトソン役といったところでしょうか。

 

浅草の裏長屋に棲む潮の家を訪ねた茜が目にとめた、雨も降っていないのに濡れている2本の雨傘の謎。誰もいないはずの学園の懺悔室に現れたマリア様の謎。探偵團と関わる鬼頭刑事がなぜか他家の養子にされていた謎。ここまではウォーミングアップというところ。最後には中国のマタ・ハリと呼ばれてスパイ活動をしている川島芳子が登場する派手なアクションに至る謎が、メンバーを待っています。

 

浅草で公園を始めた怪しい見世物小屋の秘密とは何なのか。日本に戻ってきてから消息を絶った川島芳子は何をしているのか。中国共産党川島芳子をターゲットとして送り込んだという女暗殺者はどこに潜んでいるのか。好奇心旺盛な少女たちが、大きな事件を解決に導く様子は痛快です。満州事変が起こって次第にきな臭くなっていく時代の中で、彼女たちの学園生活はどうなっていくのか、続編も読みたいものです。

 

2021/1