りぼんの読書ノート

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探偵くるみ嬢の事件簿(東直己)

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札幌ススキノを舞台とするハードボイルドミステリ 探偵はバーにいるのシリーズの著者による、イロモノミステリです。廃坑で存の危機を迎えた来内別市が町おこしのために始めた、ピンク街の風俗嬢、岸本くるみが探偵役なのです。

職業柄というか場所柄というか、起こる事件もユニークです。袋小路という一種の密室で暴力団幹部が刺殺された事件、悪徳商法を繰り返す宗教法人の教祖と認知症老人の意外な関係、同僚の風俗嬢が結婚詐欺に引っかかった事件、嫌われプロデューサーが遺したダイイング・メッセージの謎、死期を悟った大スターの最後の依頼、ジンギスカン宴会の席で盗まれた醤油皿の行方、そして最後にはくるみ自身が殺人事件の容疑者に人質にとられてしまいます。

「明晰な頭脳と魅力的な身体で、今日も彼女が謎を解く」と帯にありますが、現在では「政治的に正しくない」作品ですね。まあ、堅苦しく考えずに、いかにも北の歓楽街らしい事件と、風俗嬢の安楽椅子探偵ぶりを軽く楽しめば良いのでしょうが。

2019/1