りぼんの読書ノート

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龍のすむ家(クリス・ダレーシー)

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「下宿人募集―ただし、子どもとネコと龍の好きな方」という奇妙な張り紙を見て、大学生のデービッドが訪れた先は、やはり少々変わった家でした。あちこちに龍がたくさんいたのです。といってもこれは陶器の龍。「龍のほら穴」と名付けた立入禁止の部屋で龍を作っている女主人のリズは、さっそくデービッドに「特別な龍」を作ってくれました。それは片手にノートを持って、鉛筆をかじっているユニークな龍。

やがてデービッドはガズークスと名付けた龍と一緒に、リズのひとり娘のルーシーのために物語を書き始めるのですが、これは彼の妄想にすぎないのでしょうか。ルーシーが心配している片目を怪我したリスのコンカーは、物語の中でも現実世界においても平和に暮らすことができるのでしょうか。そして、物語に書いた出来事がどんどん現実になりはじめた中で、ふたりの物語はどんな結末を迎えるのでしょうか。

世界中で200万部を売り上げたというファンタジーの第1巻です。イギリス発のファンタジーというと、『指輪物語』や『ナルニア』から『ハリー・ポッター』に至る壮大なハイ・ファンタジーをイメージしてしまいますが、本書はちょっと不思議な心温まる物語。街並みや登場人物の性格からにじみ出るイギリスらしさという点では、『不思議の国のアリス』や『ピーターパン』の系譜に連なる作品といえるのかもしれません。

2019/1