りぼんの読書ノート

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アカネヒメ物語(村山早紀)

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2001年から2005年にかけて書き継がれた児童書「アカネヒメ・シリーズ」に書下ろしの1編を加えた連作短編集。著者が2017年と2018年の本屋大賞にノミネートされたことで出版されたようです。

 

アカネヒメとは、小さな町の小さな公園にある古い桜の木をよりしろとする少女姿の神のこと。まだほんの500歳で神々の世界では幼すぎるので、桜の木から離れることができず、ずっとひとりぼっちでした。しかし彼女の姿を見ることができる10歳の少女はるひと友達になって、2人は小さな冒険ができるようになったのです。そして心温まる奇跡も起こるのです。

 

「オルゴールの秘密」

ある晩2人が見たのは「夜走る女の子の幽霊」。どうやらその子は地中に埋めたオルゴールを掘り出したがっているようなのですが、幽霊なのでそれに触れることができません。そのオルゴールには悲しい秘密が込められていたのです。

 

「夢見る木馬」

はるひが落ち込んでいるとき、励ましてくれた絵描きの青空さんの笑顔が曇ってしまいました。彼が尊敬する画家が心を病んでしまったようなのです。アカネヒメとはるひは、彼を元気づけようとクリスマス・イブの夜に2人の画家に素敵なプレゼントをするのです。

 

「たそがれの約束」

はるひが買ってもらったパソコンで自分宛てにテストメールを送ったら、なんと返事がきてしまいました。相手は同じ年の同姓同名の男の子。しかし彼の住所は戦争で焼けてしまったところなのです。でもこんな不思議なことが起こったおかげで、おばあちゃんも、アカネヒメも、懐かしい人に会うことができたのです。

 

「人魚姫の夏」

童話作家をめざしているはるひのママが自信作を書き上げたものの、落選を恐れて投稿する勇気が出ないのです。はるひはママを力づけようと、昔ママが話してくれた人魚姫の祠にお参りに行くのですが、強風にあおられえて海に落ちてしまいます。彼女を助けてくれたのは、海で亡くなったというママの子供のころの友達なのでしょうか。

 

「春色のミュージカル」

将来の夢について考えるようになったはるひの前に、歌が上手なのに自分に全く自信を持てない若い女性が現れます。ミュージカルのオーデションを受けようとする女性のために、はるひは不思議な喫茶店に集う幽霊たちと一緒に協力するのですが・・。昔から変わらない喫茶店のマスターが化けネコというのがいいですね。

 

「永遠の子守歌」

感染病に放射能。街も世界もそのまま滅んでしまいそうな危機がやってきました。大好きな人間たちを救うために、力を振り絞ったアカネヒメはどうなってしまうのでしょう。はるひとアカネヒメはずっと友達でいられるのでしょうか。

 

2021/1