りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2018/4 悪童日記(アゴタ・クリストフ)

最近「ハヤカワepi文庫」を読み始めました。16巻で発行終了してしまったような「ハヤカワepiブックプラネット」が新作を揃えていたのに対し、「epi文庫」は往年の名作も含んでいるのです。文庫収録前に読んだ作品も加えると、既刊93作の40%程度が既読のようですが、先はまだ長いですね、ゆっくり楽しめそうです。


1.悪童日記(アゴタ・クリストフ)
『第三の男』や『日の名残り』と並んで、epi文庫の創刊時に発行された作品です。第2時大戦末期の混乱した時代をしたたかに生き抜いた双子の少年は、感情を持たない怪物なのでしょうか。それともそれは、崩れそうな精神を防御するための手段なのでしょうか。著者の自伝的体験に隠された嘘は、続編になって明らかになるのですが、本書はこのままで完成している作品です。

2.スワンプランディア!(カレン・ラッセル)
家族経営のフロリダのワニ園が、ショーのスターだった母親が死んで危機に陥ります。金策に出た父親が長期不在の間に、17歳の長男はライバルのテーマパークで働き始め、15歳の長女は幽霊の彼氏と駆け落ち。残された13歳の次女は、姉を捜しに「地獄」へと向かうのですが・・。家族が再生する時に「ワニ園」の魔力は消えてしまうのでしょうか。

3.紫式部の娘。賢子がまいる!(篠綾子)
紫式部の娘・賢子は14歳。母と同じ中宮彰子のもとで宮仕えを始め、素敵な殿方との大恋愛を夢見る少女を主人公とする宮中ラノベなのですが、時代考証や登場人物の背景がしっかりいて、最後には母娘の和解に至る成長物語となっているのです。意外な人間関係がカギにかるのですが、本書に登場する全員が実在の人物という点にも驚かされます。



2018/4/29