りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

獅子の門3 青龍編(夢枕獏)

世界を放浪する陳家太極拳の達人・羽柴彦六が見出した4人の少年たちは、それぞれに格闘家への道を歩みはじめました。同級生の加倉文平に敗れた志村礼二は、最凶の男・久我重明の非情な指導の下で力をつけたものの、既に正道を踏み外しているようです。空手家の鳴海俊男に師事して鍛錬を重ねた芥菊千代と、フルコンタクト空手大会の決勝で対戦するのですが・・。

 

東京のプロレス道場の見学に訪れた室戸武志は、リング上でのスパーリングに臨み、これまで持て余していた自分の肉体の強さをフルに発揮できる場所があることに気付きます。もっとも彼は強い相手と思い切り練習できる喜びに目覚めただけであり、まだ格闘家という意識にはなり切っていないのでしょう。

 

暴力団に追われて海外を放浪してきた竹智覚は、花巻の禅寺の僧侶のもとで子供たちに憲法を教えながら穏やかな生活をおくっています。しかし彼の居場所を察知した暴力団の黒崎は、雇っている久我重明に彼を連れ戻すように指示。しかもかつて竹智の恋人であった香代は、黒崎の元に囚われていたのです。竹智は久我と志村に対峙することになるのでしょうか。

 

少しずつ4人の運命が重なり合ってきました。いよいよ「スーパーバイオレンス格闘小説」の醍醐味を味わえる展開になっていきそうです。

 

2022/10