りぼんの読書ノート

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獅子の門2 玄武編(夢枕獏)

「スーパーバイオレンス格闘小説」の第2巻では、世界を放浪する陳家太極拳の達人・羽柴彦六が、彼に強烈な印象を残した5人の少年たちと再会します。いや、初めの出会いから数年たっているので、もはや青年たちというべきでしょう。

 

海辺の町の孤独な少年だった芥菊千代は、彼を窮地から救い出した空手家の鳴海俊男に師事して修業を始めていました。そこに暴力団に追われて日本を脱出し、海外を放浪していた竹智覚が現れます。数日前に旧知の仲である鳴海の所に来ていた羽柴彦六を追ってきたのですが、竹智には暴力団の見張りがついていました。中国拳法を身につけた竹智と暴力団の闘いに巻き込まれた菊千代は、自分が強くなっていることを知るのです。

 

北海道の心優しい巨漢の青年・室戸武志は、父親を追ってきたやくざ者を倒して以来、自分の強さを持て余していました。しかし、札幌の夜の町で出会った新進気鋭のプロレスラーにたたきのめされたことで闘う喜びに目覚め、プロレス団体に入ることを決意。もうひとりの主人公である美貌の青年・志村礼二は、同級生の加倉文平とともに空手道場「武林館」に入門しますが、文平に完敗したことで絶望。彷徨中に出逢った古武術家の久我重明に弟子入りするのですが、彼こそは羽柴彦六を師と兄の仇敵と狙う最強最悪の男だったのです。

 

羽柴彦六が出会った4人の少年たちは青年となり、それぞれに格闘の道を歩み始めますが。一部を除いてはまだお互いを知りません。また彼らが選んだ道も、空手、中国拳法、古武術、プロレスと異なる格闘技でした。物語は異種格闘技戦に進んでいきそうです。

 

2022/10