りぼんの読書ノート

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獅子の門5 白虎編(夢枕獏)

ついに流派入り乱れてのトーナメントが幕を開けました。試合の中で闘いの楽しさを知る室戸武志。中国拳法をベースにしたスタイルで挑む加倉文平。哀しい眸をした竹智完。刃物のような笑みを絶やさぬ志村礼二。全身全霊で相手に向かう芥菊千代。

 

その一方で、彼らに深い因縁を有する者たちも集まろうとしています。少年たちを見出した放浪の太極拳士・羽柴彦六と、彼を師と兄の仇と狙う最凶の男・久我重明は別格ですが、まさか久我重明の兄・久我伊吉が生きていたとは思いませんでした。しかも彼は芥菊千代の母である麗子と、竹智完の元恋人の香代が働くスナックの常連客となっていて、2人を連れて会場に現れるのです。さらに加倉文平の父であり、将棋の真剣師として家族を捨てた加倉文吉も登場。それぞれ強敵を倒してトーナメントを勝ち進む5人の青年たちの、直接対決の時が迫っています。

 

著者が描き出す格闘シーンがいいですね。簡潔な描写や、当事者の主観や、第三者の視点を交えた立体的な描写は、映像を超えた迫力を生み出しているようです。

 

2022/10