りぼんの読書ノート

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文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS京極夏彦(朝霧カフカ)

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文豪ストレイドッグス」というアニメがあることは知っていました。中島敦太宰治国木田独歩与謝野晶子芥川龍之介らの文豪たちがキャラクター化され、彼らの作品に由来する異能を駆使してバトルを繰り広げるという設定の物語。中島の「月下獣」、太宰の「人間失格」、芥川の「羅生門」など、登場人物の異能やキャラには読書家なら心惹かれてしまいますが、共通点はそこまでのようです。その原作者による本書は「外伝」として、はじめて現代の作家を登場させました。

 

主な登場人物は3人。私立探偵の綾辻行人と、政府組織のエージェントとして彼を監視する辻村深月と、社会を混乱に陥れる妖術師の京極夏彦綾辻の異能は殺人事件の真相を見抜かれた犯人が必ず事故死するという「アナザー」で、辻村の異能は影の中に潜んで本人も制御しきれない「きのうの影踏み」。そして京極の異能「憑き物落とし」とは、いったいどのような能力なのでしょう。

 

死んだはずの京極は、どのようにして潜在的犯罪者たちを操っているのか。辻村の異能の正体は亡くなったはずの母親と関わっているのか。罠に陥れられた綾辻は苦境を脱することができるのか。なかなか楽しい展開ですが、どうしてもご本人のイメージが浮かんできてしまうのが難点ですね。なお本編に登場する坂口安吾や、中原中也や、梶井基次郎の「檸檬爆弾」などもチラッと姿を見せてくれます。なかなか楽しい作品でした。辻村深月の『きのうの影踏みは』未読でしたので、読んでみることにしましょう。

 

2022/2