りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ラヴクラフト全集1(H・P・ラヴクラフト)

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クトゥルフ神話」で有名なラヴクラフトの作品を、実は今まで読んだことがありませんでした。今では「20世紀アメリカが生んだ怪奇幻想小説の鬼才」として知られる著者ですが、生前はほとんど無名だったとのこと。彼が創造した異次元神世界は、死後に体系化されて世に広まり、後世に大きな影響を与えたののです。本書は「全集」の第1巻として、代表的な作品を4作収録してています。 

 

インスマウスの影」 

1931年の作品ですが、今でも新しさを感じます。数十年前に疫病で没落されたとされるニューイングランドの港街を訪れた青年が、町の歴史を調べる過程で町に漂う異様さの原因に気づきます。深夜の脱出劇や、人間とは思えない追手からの逃走劇もスリリングですが、本書の怖さはそこで終わりません。実は青年の血筋は・・。 

 

「壁の中の鼠」 

アメリカからイングランドに移り住み、かつて先祖が保有していたとされる修道院の廃墟を目にした主人公は、悪夢に苦しめられてしまいます。その原因は、一族が過去に起こした残忍な事件と、主人公にも伝わる遺伝的形質にあったのです。物語に登場するゲール語の呪文が、クトゥルフt神話との関係を示唆しています。 

 

「死体安置所にて」 

コメディ要素を含む短い作品なのですが、真夜中に死体置き場に閉じ込められる恐怖の描写は見事です。死体を粗末に扱ってhakeaせんね。 

 

「闇に囁くもの」 

クトゥルー神話に登場する邪神を、はっきりと「宇宙人よばわり」している作品です。とはいえ彼らは、人類にはるか前から地球にたどり着いていたのです。姿の見えない宇宙人による宇宙旅行への招待など、受けてはいけませんね。 

 

2019/10