まずはイントロダクションにある12問の三択クイズにトライしてみてください。
1.低所得国に暮らす女子が初等教育を修了する割合は?(A20%、B40%、C60%)
2.世界で最も多くの人が住んでいるのは?(A低所得国、B中所得国、C高所得国)
3.極度の貧困にある人の割合は過去20年で(A約2倍になった、B変わらない、C半分になった)
4.世界の平均寿命は?(A50歳、B60歳、C70歳)
5.現在20億人いる子供の数は20年後に(A40億人、B30億人、C20億人)
6.2100年に40億人増えるとされる人口層は(A子供、B大人、C後期高齢者)
7.自然災害で亡くなる人の数は過去20年で(A2倍以上になった、B変わっていない、C半分になった)
8.世界の70億の人口分布を南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカに分けると?(Aアジア40+欧州10+アフリカ10+南北アメリカ10、Bアジア30+欧州10+アフリカ20+南北アメリカ10、Cアジア30+欧州10+アフリカ10+南北アメリカ20)
9.世界中の1歳児で何らかの予防接種を受けているのは?(A20%、B50%、C80%)
10.世界中の30歳男性の学校教育機関は10年ですが、女性は?(A9年、B6年、C3年)
11.トラとパンダとクロサイのうち20年前より絶滅の危機に瀕しているのは?(A2つ、Bひとつ、Cゼロ)
12.世界中でいくらかでも電気が使える人の割合は?(A20%、B50%、C80%)
答えは末尾に記しますが、著者はこれをチンパンジークイズと呼んでいるとのこと。チンパンジーがランダムに答えを選んだ場合の33%よりも正解率は遥かに低く、チンパンジーにに勝てたのは回答者の10%しかいないというのですから。しかも政治家、ジャーナリスト、企業家、科学者などの国際問題に関心が高い高学歴の人々ほど間違えるというのです。それはなぜなのでしょう。
その理由として著者があげているのは次の10項目の思い込みであり、それぞれに1章ずつの説明が充てられています。それらは:-
1.分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
2.ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3.直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4.恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
5.過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
6.パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
7.宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8.単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
9.犯人捜し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
10.焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
本書は、公衆衛生の専門家として世界各地で活躍してきた著者が、死病を宣告された後に息子オーラと息子の妻アンナの助力を得て執筆し、著者の死後に出版されました。「世界をより良い場所にするためには、思い込みを排除して世界を正しく見るべき」という本書のメッセージは、いわば著者の遺言なのでしょう。「状況が悪い」ことと「良くなっている」ことは両立するのであり、「最もタチが悪いのは希望を失うこと」なのですから。
2021/12
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