りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

エンダーズ・シャドウ(オースン・スコット・カード)

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こちらはエンダーのゲームの続編というより、姉妹編です。主人公は、エンダーの影の存在としてエンダーを補佐したビーン少年。つまり、ビーンの視点から見たエンダーの物語なのです。結論がわかっているから、つまらないだろうって? いえいえ、決してそんなことはありません。視点を変えることによってはじめて見えてくる舞台裏にこそ、往々にして真実が潜んでいるものなのです。

生まれながらの優秀な知能のみを武器にして(優秀さの秘密も後に明らかにされます)、荒れすさんだロッテルダムの街で生き延びていた幼いビーンは、児童徴兵プログラムでエンダーを超える最高の点数をたたき出し、バトルスクールにスカウトされます。ビーンはスクールで年長の天才の噂をあちこちで聞いてエンダーの存在を意識しますが、実はビーンこそエンダーよりもはるかに優秀な超天才少年でした。たったひとつ、決定的な点を除いて・・。

生き延びるために裏を読むことが習い性になっていたビーンは、教官たちを出し抜いてあらゆることを突き止めてしまい、逆に教官たちを操る動きすら見せるようになります。エンダーに与えられた「ダメチーム」が、ビーンが推薦した「潜在能力抜群チーム」というのも驚きでしたが、最後までエンダーは知ることのなかった「ゲームの秘密」さえ見抜いていたとは・・。

ビーンの視点を通じて、エンダーの実像が浮き彫りになってきます。そして、エンダーとビーンのスリリングな関係も・・。エンダーのファンには、必読の一冊ですよ。

2007/12