りぼんの読書ノート

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スターダスト(ニール・ゲイマン)

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公開中の映画の原作ですね。ただ、映画化を意識しすぎたのか、あまりにも正統ファンタジーっぽい内容で、『アナンシの血脈』や『グッド・オーメンズ』のような、ニール・ゲイマンらしいヒネリや遊びは、あまり感じられません、

イギリスのどこかにあるウォール村は、なんの変哲もない田舎町ですが、この村は「壁の穴」を通じて、「妖精の国」と繋がっていたのです。普段は通り抜け禁止。9年に1度、壁の向こうに市が立つ日を別にして。

だから時折、人間と妖精との交流も起きるのです。本書の主人公トリストランは、人間の父親と妖精の母親の間に生まれた青年。彼は、好きになった女性の「流れ星を取って来て」という無邪気な一言で、スターダストを探しに妖精の国を彷徨う事になるのですが、そこではスターダストは乙女の姿をとっていました。しかも、若返りのためにスターダストの心臓を狙う魔女や、スターダストの持つ宝石を手に入れることが王位継承の条件となっている、王の息子たちもスターダストを追い回すのです。

果たしてトリスタンとスターダストの運命やいかに・・という話ですが、もちろん、トリスタンの意外な出自を含めて、バリバリのハッピーエンドです。唯一、魔女がスターダストの心臓(ハート)を手に入れられなかった理由が、ちょっとロマンティックだったかな。映画をノヴェライズしたような、ちょっと内容の薄いファンタジーでした。

2007/11