りぼんの読書ノート

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闇の王国(リチャード・マシスン)

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老境に入ったベストセラー作家の回想というスタイルで書かれた作品です。第一次世界大戦塹壕で出会った戦友の遺志に従って、彼の故郷であるイングランド中部の村を訪れた青年が、不思議な体験をする物語。「恐怖の数々」とか「この世のものならぬ怪異」の表現が用いられていますが、雰囲気としては「ダーク・ファンタジー」ですね。

青年は、一般の村人が避けている2種類の「危険」に、もろに嵌りこんでしまったのです。一方は、村外れに住んで魔女と呼ばれている美貌の未亡人。もう一方には、森の中に住んでいる小柄な妖精の少女。要するに、どちらが邪悪で危険な存在なのかもわからないまま、美魔女とロリータの両方に愛されてしまったのです。青年が選んだのはどちらなのでしょうか。それとも・・。

成功した作家として回想しているわけですから、当時の状況に危険があったとしても、それを脱したことは間違いありません。次第に、老人が若いころのロマンスを自慢しているように聞こえてきてしまいます。しかも、くどい。著者は、映画として成功した「激突!」や「アイ・アム・レジェンド」の原作者だそうですが、物足りなさを感じました。

2015/11