りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

美しい人 9lives(ロドリゴ・ガルシア)

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9人の女優がオムニバス形式で演じる、9つの愛の物語。映画のノベライズ本ですが、これは映画を観るべきでした。せっかく凄い女優たちが競演しているのですから・・。

1話10分ほどの、それぞれほとんどワンショットの映画だそうです。切り取ったひとつの断面に、彼女たちの人生を凝縮させて見せるのは、映像のほうが、強い印象を残してくれるはずですしね。

とはいえ、小説には小説の利点があります。それは何度も読み返せること。9つのストーリーの脇役たちがそれぞれ繋がっているなんて、読み返さないとなかなか理解できるもんじゃありません。それとも、映像だと、瞬間に理解できてしまうのかも。

ひとつひとつは、微妙にやりきれない話なのです。
【以下は、完全なネタバレです】。

・模範囚であろうとして看守に嫌われ、娘との面会に嫌がらせを受けてしまうサンドラ(エリピディア・カリーロ)。

・再開した恋人の言葉に揺れながら、もう元には戻れないことに切なさを感じる、妊婦のダイアン(ロビン・ライト・ペン)。

・色の白い妹をうとましく思い、あてつけに、父親の前で自殺しようとする黒人女性のホリー(リサ・ハミルトン)。

・裕福な友人夫婦の前で、情けない夫と口論してしまうソニア(ホリー・ハンター)。

・車椅子生活の父と、介護に疲れて不和になった母の橋渡しに追われ、自分の進路も考えられない女子高生・サマンサ(アマンダ・セイフライド)。

・元夫の妻の葬儀に出席して不倫してしまうローナ(エイミー・ブレナマン)。

・娘が通う高校の教師と不倫する直前に、娘に電話してしまい、結局、浮気を断念するするルース(シシー・スペイセク)。

・乳癌の手術を前にナーバスになるカミール(キャシー・ベイカー)。

そして、ラストの一話がとっても切ないのです。娘と墓場にピクニックするマギー(グレン・クローズ)。親子の年齢差が気になる。ふたりで遊んで楽しい会話をして、カメラが回転すると・・そこには母親だけがいて、前には娘のお墓。やっぱり、わざわざこんな悲しい映画を見たいと思わないかもしれません。

2006/9