りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

沈黙の森(C.J.ボックス)

イメージ 1

『リンドキストの箱舟(アン・ハラム)』と同じ、野口百合子さんの翻訳。やっぱり、「自然保護」に関係した物語を訳してるんですね。

主人公は、ワイオミング州猟区管理官のジョー・ピケット。職務にも家族にも誠実で心優しい男ながら、州知事を偶然検挙したり、密猟者に銃を奪われそうになったり、とかく不器用さが目立ちます。

そんな男が、陰謀事件に巻き込まれてしまいます。彼の家の裏庭にたどりついた密猟者が殺され、さらに、山の中を孤独に放浪している男が犯人として射殺されるという事件が発生。どうやらその背景には、自然開発を巡る争いがありそうです。イエローストーンにも程近い、ロッキー山脈を通すパイプライン計画のルート上に、絶滅危惧種の動物のコロニーが本当にあるのでしょうか。

ジョーの抱きこみに失敗した勢力は、彼の家族をも襲おうとします。家族に手を出されて、黙っているような男だったら、アメリカではヒーローになれませんよね。もちろんジョーも、立ち上がります。この本が面白いのは、自然に対する畏敬の念をテーマとしながらも、「自然保護」をウリにしている勢力の問題点も見逃していないこと。ジョーと、家族たちのドラマの続編も、読んでみたくなりました。

2006/9