りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ドリームバスター1・2(宮部みゆき)

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宮部ファンタジーには偏見がありましたが、これはおもしろい。表紙のイラストも展開もアニメのようですが、ファンタジーに「飛ぶ」前の普通の生活の描写がいいですね。

ある文明世界から、精神だけの存在になって逃亡した死刑囚たち。彼らは地球で人間の夢に入り込み、人格を乗っ取ろうとします。「ドリームバスター」とは、逃亡犯を追ってきた賞金稼ぎたち。もちろん、闘いの舞台は夢の中。そう、精神世界は「ファンタジーワールド」なのです。最近、別の本でもこんなこと書いたな。^^;

凶悪犯たちに狙われる人間の心には、彼らを惹きつける「何か」がある。それは、自分の出生への疑惑であったり、自分の証言が冤罪を負わせたのではないかという恐怖であったりするのです。でも狙われる可能性があるのは、決して特別の人ではありません。「何かをする/しない」と判断する際の「天使の声と悪魔のささやき」。「何かをした/しなかった」結果に対する、後悔や苦々しさ。そんな思いは誰だって持っている。

ところでこの話、相当の長編になる予定らしく、まだまだ「to be continued・・」なのです。主人公の1人であるドリームバスターのシュウの母親は逃亡死刑囚なのですが、未だに姿を現してはいませんし、ドリームバスターズの世界での秘密組織の動きや、行方不明になったシュウの親友の正体など、まだまだ進行中の謎がいっぱい。

もちろん宮部さんのことですから、全ての謎を綺麗に解決してくれるでしょう。気持ちよく、驚かせてくださいね。また一冊「読みかけの本」が出来てしまった・・。(ルパン三世の五右衛門風に^^)


2005/6