りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

四畳半神話大系(森見登美彦)

イメージ 1

これは「パラレルワールド」の本だったんですね。巨大な自意識と妄想がせめぎあう京大生を描いたら第一人者の森見さんが宇宙の神秘に挑戦して、空想を自由に羽ばたかせるSF大作をものするとは!

でも、ご安心あれ。やっぱり森見さんの作品は「モリミー・ワールド」なのです。大学3回生の春までの2年間、実益のあることなど何一つしていない主人公。これは入学式の日に受け取った4枚のクラブ勧誘ビラからの選択のせい!

映画サークル「みそぎ」。「弟子求む!」の不思議なビラ。宗教系ソフトボールサークル「ほんわか」。秘密機関「福猫飯店」。4話からなる物語は、ここからの選択に対応しています。もっとマシな選択はなかったのかいっ!(でも一緒か。^^;)

どれを選んでも、唾棄すべき親友である「小津」が、同じアパートの2階に住む謎の存在「樋口さん」が、敵対関係となるカリスマ的な「城ケ崎先輩」が、ちょっと不思議な黒髪の乙女「明石さん」が登場し、生活はめちゃくちゃになってしまう運命。パラレルワールドに登場するのは、人だけではありません。ふかふかの縫ぐるみ「もちぐま」も、凶悪無比の秘密結社も、究極のタワシも、大量発生する「むにゅっとする蛾」も、登場してしまう運命なのでした。そして、賀茂川大橋で、惨劇が起こるのです。

決して同じ話の繰り返しではなく、微妙に異なった変奏曲が流れ、それでも根本的なところでは、同じ結果に繋がっていくのです。構成もよくできていますね。^^

2007/3