りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

魔法泥棒(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)

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ジブリアニメの原作となった魔法使いハウルと火の悪魔の著者による「大人向きのファンタジー」です。かなり色っぽい作品ですので。

地球のもろもろの技術が異世界にこっそり盗みとられていることが判明し、魔法使い評議会のメンバーは異世界襲撃隊を送り出しますが、予定外の事故のせいで異世界にたどり着いたのは若い女性4人と密航者の母子だけだったのです。地球の魔女たちの異世界襲撃は成功するのでしょうか。

一方の異世界は地球のパラレルワールドであり、魔術こそ優れているものの、その他の面では中世的な世界です。「五国」は王に統べられており、地球を監視する空中都市ラピュタ=アルスは戒律厳しい魔導師に治められる女人禁制の世界。そこに飛び込んだ地球の女性たちはそれぞれ、知性、美貌、純情、料理、ダンスといった得意の「武器」を使って異世界の男たちを「攻撃」し始めるのです。これが効いちゃうんだなぁ(笑)。

ところで異世界で起きていた最大の問題は温暖化による海面上昇でした。地球の温暖化は解決策を求める異世界が引き起こしたものだったのですが、真の原因はパラレルワールド間で情報が一方的に流れたことだったようです。地球の魔法使い評議会のトップを努める大魔女「グラディスおばちゃん」は、根本的な問題解決のために自ら異世界に乗り込もうとするのですが・・。

登場人物も多く、伏線とも言いがたいエピソードも多く挿入されてるため、本筋を追い難い面もあるのですが、そこも含めて本書の魅力ですね。パラレルワールドという設定にはSFっぽさも感じますが、基本は「大人のためのファンタジー」なのでしょう。この世界でいいパートナーに巡りあえない人は、異世界で自分探しをするとよいのかも。^^

2012/11