全10編のうちの5編を占める「天才猫ガミッチ」シリーズが最高に楽しいですね。IQ160のスーパー猫ガミッチが、「馬肉の先生」と「ネコちゃんおいで」と呼ぶ飼い主の夫妻と繰り広げる、思索と冒険の物語。
5編とも楽しく読みましたが、やはり一番は表題作の「跳躍者の時空」でしょう。成長すると人間の身体になり、人語も話せるようになると信じている、天才子猫の夢破れ、大人になっても猫のままなのだと悟るまでの物語。でも、ガミッチが自分の夢を犠牲にしたおかげで、発育の遅れていた飼い主の娘は言葉を話せるようになり、赤ちゃんだって助かったのですからね。^^
「猫たちの揺りかご」地球に漂着したネコ型宇宙人の人類征服計画をガミッチが阻止します。
「キャット・ホテル」猫のホテルの女主人は魔女なのでしょうか?
「三倍ぶち猫」時空を超えて、飼い主夫婦の過去や未来を見届けるガミッチ。でもこれは、「馬肉の先生」の夢かしら?
「ガミッチ・シリーズ」以外の5作品も楽しめますよ。
「『ハムレット』の四人の亡霊」亡霊役の俳優が出番前にベールをかぶらない理由は何でしょう?
「骨のダイスを転がそう」死神との一世一代の大勝負に出たギャンブラー。でもこれは妻の魔法?勝負を終えたギャンブラーはまっすぐ家に帰るのですが、地球を一周するほうの「まっすぐ」なんて、妻の魔法から逃げ出したいということなのでしょうか?
「『ハムレット』の四人の亡霊」亡霊役の俳優が出番前にベールをかぶらない理由は何でしょう?
「冬の蝿」3人家族の妄想が微妙に絡まり合って、不思議な世界を作り出します。
「王侯の死」不思議な友人はハレー彗星の申し子だったのでしょうか?
「春の祝祭」隔離された政府機関で働く天才数学者を誘惑する女性の正体は?
他の作品も読んでみたくなりました。『妻という名の魔女たち』は、「骨のダイスを転がそう」と同じ発想の本でしょうか?
2010/4