りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

洋梨形の男(ジョージ・R・R・マーティン)

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「サイコ・ホラー」系の作品が多く収められていますが、決して後味が最悪というわけでもありません。とりわけ良くもありませんが・・。

「モンキー療法」
全てのダイエットに失敗した男が最後にたどり着いた方法は、背中に取りついた見えない猿に全ての食べ物を奪われ続けるという、おぞましいものでした。その行きつく先は・・。

「思い出のメロディ」
奔放な学生時代をともに過ごした4人組の男女のうち、ただメロディーだけは大人に成りきれないまま、皆のトラブルメーカーに成り果ててしまっています。「どんな時も力になる」なんて、できない約束をしてはいけません。

「子供たちの肖像」
小説家の父と反目する画家の娘が、「父の実子たち」とも言える小説の主人公の肖像画を次々と送りつけてきます。最後に届いたのは父の最期の小説の主人公となった娘自身の自画像でした。娘の肖像画は父への恨みを語りだします。

「終業時間」
これは軽い作品です。持ち主を愛車の名前に変身させる魔法の道具が登場します。「ノヴァ(超新星)」なんて名前のクルマに乗っていると・・。^^;

洋梨形の男」
アパートの地下に住む異様な男に怯える女性の心理が描かれます。これは怖い!ストーカーと対決しようなんて思わないほうが良さそうです。

「成立しないヴァリエーション」
学生時代のチェス大会で必勝の局面から逆転されて嘲笑された男が、10年後に当時の仲間を呼び集めます。彼が語るのは、なぜ負け犬だった男が成功者となり、彼を嘲笑った者たちが敗残者になったのかという秘密でした。一種のパラレル・ワールドものですが、選択の全てに成功する必勝手とか、逆の必敗手なんてものはないのでしょう。

「子供たちの肖像」と「成立しないヴァリエーション」が好みの作品でした。

2011/12