りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ダーク・エンジェル スキン・ゲーム(マックス・アラン・コリンズ)

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物語はいきなり、TVドラマ第2シーズンの直後まで飛んでしまいます。第2シーズンを最後まで見なかった者にとっては少々キツイのですが、そこで何があったのかは次第にわかってくるので、まあ大丈夫。

連邦政府が戦闘マシンとして遺伝子操作によって生み出されたミュータントたちが「ジェネティック」。9歳の時に研究施設を脱出したマックスが、ついに研究所の防備を突破して、囚われていた仲間たちを解き放ったのが第2シーズンの物語だったのでしょう。第1シーズンのライデッカー大佐にかわって、闇のカルト集団「ファミリア」の一員である連邦捜査官のホワイトがマックスらの仇敵として登場しています。また、マックスの運命の恋人ローガンは、特殊ウィルスに感染させられて、マックスと接触できないようになっていることは記憶に残っていました。

施設から逃亡したジェネティックたちは、放射能に汚染されたターミナル・シティに立て籠もります。マスコミを捜査して「ジェネティック抹殺」の世論を掻きたてようとするのがホワイト捜査官。サイバージャーナリストの「アイズ・オンリー」ことローガンらは、両者が共存できる世界の実現にむけて闘っているのですが、そこに不穏な事件が起こります。なんと連続惨殺事件の犯人がジェネティックだというのです。

犯人は確かにジェネティックのボビーだったのですが、事件はホワイトによって仕組まれていたようです。ボビーはどのように操られ、なぜ次の狙いをローガンに定めたのか。タイトルの「スキン・ゲーム」とは、触れ合うことができないマックスとローガンの関係のみを指していただけではなかったのですね。そしてボビーがカメレオンの遺伝子を有していたことが、新たな展開を生み出すことになるのですが・・。

著者は作中でローガンに「人は理解できないものを怖れ、排除しようとする」と語らせています。対イラク戦争に向かおうとしていた時代のアメリカは、協調融和を唱えることすら許されない雰囲気だったのでしょうか。そのツケが現代にも深い影響を残し、さらに増幅されていることを思うと哀しくなります。

2019/1