りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2016/3 長いお別れ(中島京子)

3月にアップしたレビューの半分以上は、2月の長い出張の間に読んだ本です。だから、文庫本の比率が高いのです。2位にした『世紀の空売り』を映画化した「マネー・ショート」を見ました。原作を読んでいたせいで、よく理解できました。
1.長いお別れ(中島京子)
チャンドラーではありません。少しずつ記憶を失くしていく認知症のことを、アメリカでこう表現するようです。長く認知症を患っていた実父を亡くした、著者の実体験を踏まえた小説です。認知症を患った夫が亡くなるまでの10年間を描いた物語には、最後まで暖かさを失わなかった家族の悲喜こもごもが詰まっています。身につまされる作品でした。

2.世紀の空売り(マイケル・ルイス)
副題は「世界経済の破綻に賭けた男たち」。リーマンショックの直前、世界中がアメリカの住宅バブルに酔っていた2000年代半ばに、そのまやかしをいち早く見抜いていた男たちの姿を描いたノンフィクションです。サブプライムローンの破綻が、なぜ巨大な投資銀行を倒産させるほどの威力を持っていたのか。なぜ圧倒的多数の者は危機を見抜けなかったのか。実話をベースとしながらも、登場人物は魅力的であり、ストーリーはスリリングです。

3.ムシェ 小さな英雄の物語(キルメン・ウリベ)
スペイン内戦時、ゲルニカ爆撃の直後に、2万人の子供たちがバスクから欧州各地に疎開したそうです。当時8歳の少女引き取ったベルギーの文学青年ロベール・ムシェは、どのような生涯をたどった人物だったのか。彼が残した遺品やエピソードをコラージュのように結び付け、彼の人生を再構成した作品は、「反戦への強い思い」に溢れています。



2016/3/30