りぼんの読書ノート

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クロニクル4.最後の罠(リチャード・ハウス)

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シリーズ最終作となる第4部は、再びイラクにおける不正事件へと戻ってきます。ただし本書の主人公は逃亡を続けるサトラーでも、彼を追う使命を課せられたパーソンでも、不正焼却で健康被害を受けたレムでも、第1部で行方不明になったエリックでもありません。第1部でチョイ役だったドイツ大使館員ヘニングの義妹であるリーケという若い女性が主役を務めます。

冒頭で、サトラーらしき人物が3人発見されたという知らせが告げられます。1人目はローマで列車に惹かれて死亡。2人目はグルノーブルでの目撃情報。3人目はシリアの砂漠で半死半生のところを発見され、治療のためにキプロスに送られます。どうやら1人目はパーソンのようであり、3人目はまた別の人物のようなのですが、本書の登場人物がそれを知ることはありません。

第3のサトラーを確認するためにキプロスに移動したヘニング夫妻についてきたリーケは、サトラーを巡る一連の謎に巻き込まれていきます。英会話教師を務めるリーケに個人レッスンを依頼した男が自分の物語として語るのは、第3部で作中作として綴れられたある殺人の記録の登場人物たちの物語。リーケは、その男を不審に思いながら、次第に惹かれていくのですが・・。

案の定、「まとまりがなく、不快で、なんの理由も書かれていなければ、謎の解明もされていない」物語でした。しかし、第1部でエリックが語っていたように、「よくわからないとこがあって、読み落とした箇所があるのかもしれない」とも思わせるのです。読後感がもう少し良ければ、好みの作品だったかもしれません。

2015/11