りぼんの読書ノート

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クロニクル2.砂漠の陰謀(リチャード・ハウス)

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第1部.トルコの逃避行で、サトラーが犯人とされた、アメリカのイラク軍事基地を建設する民間企業HOSCOを舞台にした横領事件は、奥の深い陰謀でした。第1部の前日譚である本書では、陰謀の別の側面が描かれていきます。

本書の主人公は、やはりHOSCOの幹部社員ギーズラーに雇われたレム・ガナーセン。彼が6人の仲間とともに派遣された先は、イラク戦争の廃棄物を大量に焼却するバーン・ピット。そこは、軍事廃棄物だろうが、医療廃棄物だろうが、人体だろうが、ありとあらゆるものを砂漠に掘った穴に放り込んで、ジェット燃料で燃やすという大雑把な施設。どうやら有害物質や発癌性物質も大量に含まれている不法施設のようで、従業員の健康などもちろん無視されています。

バーン・ピットの実態を何も知らないサトラーなる人物が施設を訪れたのは、彼が爆発事件と横領事件の容疑者として追われ始める直前のことでした。それは、違法廃棄や健康被害の責任もサトラーに押し付けようということだったのでしょうか。しかし、使い捨てにされたことに怒ったバーン・ピットの従業員たちは、ギーズラーに対する報復を行うのです。この部分は後日譚ですね。

このシリーズが、「正統派アクション」ではないことは承知していましたが、予想以上に混沌としてきました。第1部と第2部で言及された作中作『ある殺人の記録』が綴られるという第3部では、混迷衣の度合いは一層深まっていくように思えます。最終巻の第4部で、綺麗に決着がつくのかどうか、だんだん心配になってきました。

2015/11