りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ハワード・ヒューズ(ジョン・キーツ)

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映画「Catch me if you can」の原作である世界をだました男に続いて、やはりディカプリオが主演した「アビエイター」の原作と思しき作品を読んでしまいました。もちろん偶然です。

父親が遺した会社と財産をベースとする億万長者として、映画と飛行機に情熱を傾けた男の数奇な半生。「映画好き」としては、全くの素人としてハリウッドに乗り込み、大作映画を次々とプロデュース。普通なら大金を失うカモなのですが、ヒット作や受賞作を手掛け、映画女優たちとも浮き名を流し、さらには有力映画会社RCAまで買収。

「飛行機好き」としては、飛行機の設計者、飛行家、アメリカ横断航空路線の開拓者、さらにはTWAの創設者として、アメリカ航空業界の草創期に大きな足跡を残すに至るのですから、大成功を収めた大天才であったことは間違いないのでしょう。

本書は1966年に出版された「中間報告的な半生紀」であり、RCAとTWAを手放したところで終わっています。その後の「ラスベガス乗っ取り計画」や「晩年の奇行」、さらにはニクソンとの親密な関係などは描かれていませんが、偏執的な性格は既に顕れていますね。思いつき的な会社経営や、何人もの女優の卵の人生を台無しにした囲い込みなどは、その一端なのでしょう。

ジェームズ・エルロイのアメリカン・タブロイドでは、裏社会との関係が露骨に暴かれていましたが、その部分には踏み込んでいません。そのあたりは「未検証の伝説」なのかもしれません。

2015/10