お洒落な犯罪小説です。
ひとりめの主人公は三流飛行機会社のスチュワーデスとして働くジャッキー。４０歳を超えてもスタイルを保っている美女なのですが、この仕事も先が見えてきています。小遣い稼ぎに違法な金の運び屋をしたところ逮捕されてしまい、罪を見逃す見返りに元締めの銃器密売人ロビーの逮捕に協力することを求められます。
ふたりめの主人公は保釈金融業者のマックス。元警官で５０歳をすぎたマックスもまた、小悪党を相手にするビジネスに飽き飽きしているところ。保釈金を通じて知り合ったジャッキーとマックスは、司法当局やロビーの裏をかいて、大金をせしめることを目論むのですが・・。
ふたりの主人公はもちろん、元締めのロビーやその周辺で蠢く犯罪人たちも、皆誰もが小悪党なのです。それでも司法と犯罪者の両方を欺くことは、至難の業というより命がけのこと。スピード感あふれる展開と、意外な仕掛けと、なんとも都合の良いエンディングとが楽しめるビカレスク小説です。
本書は、著者エルモア・レナードを敬愛するタランティーノ監督によって、「ジャッキー・ブラウン」なるタイトルで映画化されたとのこと。主演は黒人女優のパム・グリア。彼女もまた、タランティーノが好む女優なのです。
2016/9
