りぼんの読書ノート

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グレース・オブ・モナコ(ジェフリー・ロビンソン)

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人気絶頂期にハリウッド・スターからモナコ公妃へと、シンデレラ・ストーリーを地で行く華麗な転身を遂げたグレース・ケリーは、今でも伝説的な存在です。

最近も本書から題材を得た映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」が公開されたばかり。映画のクライマックスは、ヒッチコックから打診されて一度は女優復帰を決意するものの、諸事情あって断念。公妃という役割を演じ切ることで国を守ろうと決意する場面でした。

そもそも近隣大国に何度も蹂躙されたモナコ公国には、グレース・ケリーが嫁いだ1956年以降も、試練が続いていました。二流のリゾート地に落ちぶれていた雰囲気一掃という課題があり、カジノ独占権を有するSBM社株式をオナシスから買い戻す必要があり、さらにはモナコをタックスヘブンとして利用するフランス企業をめぐってド・ゴールとも対立。「公妃の切り札」はこのころの話です。

公妃グレース・ケリーの存在は、少なくともイメージアップには大いに役立ったようです。ただしモナコ大公夫妻と深い親交があったジャーナリストの著者による本書は、映画よりも広い範囲を取り扱っています。交通事故死の真相を含むグレース・ケリーの生涯だけでなく、その後の3人の子供たちの半生も含んでいるのですから。

その子供たちの世代が大変なのです。長女カロリーヌは3度も結婚。父公の後を継いだ長男アルベールは2人の非嫡出子がいるものの、50歳を超えて結婚。次女ステファニーはあちこちで浮名を流し、離婚も2回経験。さすがに最近は噂を聞かないので、皆落ち着いたのでしょうか。

2017/3