りぼんの読書ノート

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凍てつく世界 2(ケン・フォレット)

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ついに第二次世界大戦が始まりました。登場人物たちの運命も交差していきます。

1937年。モスクワで赤軍情報本部に勤務するヴォロージャは、物理学者のゾーヤと知り合ったのもつかの間、内戦中のスペインへと送られます。そこでは、義勇軍に入ったロイドが、ファシズムよりに対するより内部抗争を重視する共産主義者に幻滅していました。仲間たちを失ったロイドは、失意の中でイギリスに帰国します。

1939年。ベツリン勤務に就いたヴォロージャは、ファシズムに絶望したカーラの親友フリーダの兄ヴェルナー・フランクをスパイとしてスカウト。一方で、両親とも職を奪われたカーラ一家の生活は破壊されていました。彼女もまた、ナチの女性差別政策のせいで医者への道を閉ざされ、看護師をめざします。アメリカではウッディーが、国際連合の創設を説く父親を助ける傍らで、幼馴染のジョアンと再会。国務省に勤め始めたグレッグはジャッキーを忘れられないでいます。

開戦。ボーイとロイドはイギリス軍に志願。

1940年。ウェールズで訓練中のロイドは、妊娠して帰郷しているデイジーに指摘されて、自分の出産の秘密に疑問を持ったまま出征。いきなりカレーで捕虜になったものの脱走してスペインへ。その経験を生かし、情報部員としてレジスタンスに協力し、脱走ルートを確保する任務につきます。デイジーは空襲下のロンドンで救急車を運転。人間的に大きく成長していきます。

1941年。ドイツ国内では、ユダヤ人だけでなく障害者や弱者を次々と強制収容所に送るという「民族浄化」が始まっていました。ウルリヒ家のメイドのアーダの息子クルトは、障害者への治療の名目で新たな施設に送られた直後に死亡。疑問を持ったカーラとフリーダは調査を始めるのですが、それは危険な活動でした。父親ワルターは拷問の末に殺害されてしまいます。

第1部巨人たちの落日が、多くの人物を登場させつつも、基本はイギリスの貴族制に抵抗したエセルとモードの物語であったように、第2部の中心人物はカーラのようです。次いでロイドでしょうか。

2014/10