真珠湾攻撃による日本の参戦。しかし、まずは冬のモスクワで、次いで太平洋で、戦況は連合国の側に有利に傾いていきます。それとともに、登場人物たちの運命も変わっていかざるを得ません。
1941年。ヴォロージャがバルバロッサ作戦指令を入手していたにもかかわらず、ソ連はドイツ軍に不意を衝かれ、一気にモスクワまで押し込まれてしまいます。失脚間際のスターリンと陥落間際のモスクワは、ギリギリのところで踏みとどまります。
フリーダとともにアケルブルクに向かったカーラは、障害者浄化の証拠を掴みます。教会の応援を得た抗議運動はささやかな勝利を得て、浄化計画を中止させるのですが、計画に加わった医師と看護師はドイツ国境を越えて東へと向かったにすぎません。
婚約したウッディーとジョアンは、休暇を取って、弟チャックが海兵隊員として勤務しているハワイに向かいます。しかしそこで彼らが遭遇したのは真珠湾攻撃でした。ジョアンは流れ弾に当たって命を落としてしまいます。
1942年。医療行為を禁止されたユダヤ人医師ロートマンのため、看護師として勤務する病院から医薬品を盗み出しているカーラ。彼女の反政府活動は次第に過激になっていきます。ピアノ教師で辛うじて生計を立てている母モードの生徒となったドイツ軍将校から、情報を盗み出すのですが、それだけではすみません。
夫ボーイにロイドとの不倫を気づかれたデイジーは、伯爵家を追い出されますが、離婚は認めてもらえません。ロンドンに戻ったロイドはボーイと対決し、2人が異母兄弟であることを伝えるのですが・・。
ところで著者によると、日本とスペインは「本物のファシスト」ではなかったようです。ファシストとは、「新しいタイプの社会を急進的に構築するために敵を徹底的に排除するもの」であるのに対し、日本とスペインの全体主義は旧勢力を守るためにすぎなかったというのです。一理あるようにも思えますが、これでは共産主義とファシズムの違いがぼやけてしまうのでは?
2014/10