りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

魔法飛行(加納朋子)

イメージ 1

前作ななつのこで作家の瀬尾さんに後押しされて物語を書き始めた駒子が遭遇する、日常生活の中のミステリ。駒子が記した不思議ストーリーの謎を、瀬尾さんが鮮やかに解いていきます。しかし最終章では駒子自身が、不思議な手紙の謎に巻き込まれてしまいます。

「秋、りん・りん・りん」
駒子が大学で出会った個性的な女性は、いくつも名前を使い分けていました。彼女の謎はあっさりわかりますが、駒子に近づいてきた目的は最終章までお預けになってしまいます。

「クロス・ロード」
交通事故で亡くなった中学生の息子の絵を、事故現場に描いた画家。ところが少年を描いた絵が、一夜にして白骨の絵となってしまいます。ひき逃げ犯人が捕まっていないことが、最終章の事件と関係してきます。

「魔法飛行」
学園祭の最中に起きた、謎のテレパシー事件。一番のポイントは、互いに信じあいたいと願う、幼馴染どうしの心の動きでしょうか。

「ハロー・エンデバー
事件は、クリスマス・イブの晩に起こります。友人のふみさんの婚約者に会った後で見つけた手紙には、自殺をほのめかす言葉が綴られていました。誰が何のために? 冒頭の作品の女性が再登場してきます。これはかなりの大事件でした。

ミステリ自体より、全体の雰囲気を楽しむ作品なのでしょう。むしろ、駒子と友人たちとの会話など、ミステリも瀬尾さんも登場しない部分のほうが楽しく読めるほどであり、そちらのほうに著者の魅力を感じるのです。

2014/9