りぼんの読書ノート

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GOSICKs 2 夏から遠ざかる列車(桜庭一樹)

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1924年春、ヨーロッパの小国ソヴュールに極東から留学してきた久城一弥が、ゴスロリ天才少女のヴィクトリカと繰り広げる「ゴスロリ・ミステリ」の外伝第2弾。混沌に満ちた世界の中で、ヴィクトリカの出生の謎を解き明かしていく物語を「縦糸」とする本編とは異なり、こちらは次第に距離を縮めていく2人の関係を中心とする、軽いタッチの短編集です。2人の出会いを描いた外伝第1巻の春来たる死神に続く本書は、同級生たちが帰郷する中で学園に残された2人の夏休みの物語。

「仔馬のパズル」
『GOSICKs』でヴィクトリカが一弥の次兄に宛てた謎の回答と、新たなクイズが書かれた手紙が届きます。 もちろん瞬殺です。一方で、一弥はアブリルから地中海でのバカンスに誘われますが、行くところのないヴィクトリカとふたりで学園に残ることを決めるのでした。

「花降る亡霊」
バカンス中のアブリルから届いた手紙に書いてあった、花びらを撒き散らす白いドレスの幽霊の正体は何だったのでしょう。素直でホラー好きな美少女・アブリルは、どこに行ってももてるのです。

「夏から遠ざかる列車」
セシル先生と寮母ゾフィは、互いに学生とメイドだったころからの親友だったのですね。別れの予感がせつない作品ですが、お菓子好きのヴィクトリカのために、一弥もゾフィからケーキの作り方を習っておくべきです。

「怪人の夏」
姉の瑠璃から一弥に届いた手紙には、女学校卒業後に結婚と教職のどちらの道を選ぶのか、戦前の日本女性としての究極の悩みに加えて、マントの怪人による泥棒騒ぎが記されていました。軽くて明るい瑠璃のキャラは、ジャクリーヌと似ているかも?

「絵から出てきた娘」
絵画に書かれた美女とそっくりの女性が出てきた後、美術館には空白のキャンパスだけが残されていたのです。でも、この謎解きは反則かも。

「初恋」
ヴィクトリカの兄グレヴィールは、警視総監夫人となっているジャクリーヌのことを、忘れられないのですね。ジャクリーヌの天真爛漫な鈍さは、天才的すぎます。

2017/4