りぼんの読書ノート

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花散らしの雨 - みをつくし料理帖(高田郁)

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八朔の雪に続く、「みおつくし料理帖シリーズ」の第2弾です。8歳の時に洪水で両親を失って後、事情あって大阪から江戸へ流れてきた少女・澪が多くの人に支えられながら、料理人としてひとり立ちしていこうと健気に奮闘する物語。前作と同様に、料理にかける澪の真摯な姿勢が心を打ちますが、今回はそれ以上に「澪の成長物語」としての側面が強いようです。

吉原の「あさひ太夫」となっている幼馴染みの野江への気遣いや、下足番として雇った両親を失った幼い少女・ふきへの思いやりなど、澪の優しさと強さが現れるエピソードだけでなく、淡い恋心を自覚したりもして、ちょっぴり女性らしさも見せてくれます。

澪を亡くした娘のように思っている、料理屋の店主の種市老人や、幼少時代の澪の恩人の元・天満一兆庵のご寮さんや、気さくな長屋の夫婦の伊佐三とりょうと太一少年、いつも澪の料理を適切に批評する謎の武士・小松原や、澪に惚れている(?)医者の源斉先生など、レギュラー陣も健在。

料理にうるさい戯作者の清右衛門(イメージは江守徹です)や、スケールの大きな悪役っぽいライバル登龍楼の主人・采女宗馬(誰がいいだろう?)も今回から登場。やっぱり、NHKの連続時代劇にぴったりの素材です。ちなみに、主人公の澪は蒼井優ちゃんで決まりです。特徴が「下がり眉」なんだもん。^^

今回登場したお料理は、
・ほろにが蕗ご飯:おさない少女ふきを利用した登龍楼に対する怒り
・金柑の蜜煮:幼馴染の野江を案ずる澪
・なめらか葛饅頭おりょうさんと太一が麻疹にかかって一大事
・忍び瓜:源斉先生に縁談が?

巻末にレシピも載っていますので、さっそく一番簡単な「忍び瓜」を作ってみました。キュウリを湯がいて、胡麻油、砂糖、酢、醤油、鷹の爪を入れた出し汁につけるだけ。「湯がく」というのがポイントですね。美味でした。^^

2010/1