りぼんの読書ノート

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みをつくし料理帖8 残月(高田郁)

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尊敬する小松原様(御膳奉行の小野寺数馬)との縁談を断り、吉原の大火で又次を失った澪の物語は、新しい局面に入ったようです。いろいろな動きが出てきました。

天満一兆庵の跡継ぎでありながら行方不明であった佐兵衛の行方が判明します。母親の芳との再会は果たされますが、佐兵衛は料理の道に戻るつもりはないと断言。しかも既婚で子持ち。佐兵衛と澪が夫婦になって天満一兆庵の再建を果たせれば・・との芳の希望は潰えましたが、むしろ彼女を縛っていたものから解放された感じです。

一流料亭「一柳」の柳吾が病を得た際の手伝いを頼まれた芳は、天満一兆庵のご寮さんだった真価を発揮して見事に店を仕切ります。柳吾から後添いにと望まれた芳は、どう決断するのでしょうか。

経緯は不明ながら、佐兵衛の失踪には「登龍楼」の采女宗馬が関係していたようです。「登龍楼と関わってはいけない」と言われていたのに、澪を吉原店の料理人としてスカウトに来た采女宗馬との賭けに乗ってしまった澪。彼女は皆を驚かせる料理を生み出すことができるのでしょうか。

戯作者の清右衛門(馬琴)によって料理人として進む道を示された澪は、あさひ太夫こと幼馴染の野江の身請けを決意。一方で「つる屋」店主の種市も、いつまでも澪を引き止めてはおけないと悟ったようです。玄関番をつとめていたふきちゃんが調理師見習いに昇格したことですし、将来は彼女が「つる屋」を継ぐのかも?

これらを総合すると、物語はフィナーレに向かって進み出したようにも思えます。人気シリーズなので簡単には終了しないでしょうから、「シーズン2」の骨格は定まったと言い換えたほうがいいかもしれません。澪に思いを寄せているような医者の源斉先生が「いい人」で終わってしまうのかどうかも気になります。

2013/11