りぼんの読書ノート

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甘苦上海(かんくうしゃんはい)4 高樹のぶ子

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52歳の女性起業家・速見紅子の「人生最期の恋の冒険」も最終章になりました。1番目の男性である39歳の石井京とはうまくいくはずもなく、突然の別れが訪れます。2番目の男性である不倫商社マンの松本も日本に帰任し、紅子姉さんも恋の苦さと甘さを噛みしめる・・と思いきや、まだ未練を残したエンディングは、「やれやれ」^^;

1~3巻』のレビューで「上海の熱気も、矛盾も、混沌も、伝わってこない」と書きましたが、そもそも早見紅子という女性が全くといっていいほど会社経営者に見えないのが一番の理由なのでしょう。「私は上海で稼ごうとしている者であって、単に来て帰るだけではない」などとつぶやくだけで経営が成り立つものでもありません。

日本人同士で不倫するだけなら、経営者である必要もないし、場所はどこでもいいんです。そもそも著者は、そういうテーマを書けるような作家ではありませんしね。

ただ、最終章でいきなり登場した寧波の「天道寺」の部分だけは雰囲気が出ていました。これも、歴史と宗教を感じさせる場所であれば、日本の古寺でも西欧の修道院でも一緒のように思えます。実は「天道寺」には数年前に行ったことがあるんです。当時は杭州湾を横断する橋はもちろん、寧波と北倫を結ぶハイウェイも未完成でしたので本書での描写よりも鄙びた雰囲気だったように思います。
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2010/1