りぼんの読書ノート

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吹上奇譚3 ざしきわらし(吉本ばなな)

異世界の伝説がある海と山に囲まれた吹上町の「うっすらとしたモデル」は千葉県の館山だそうです。そう言われると崖観音や那古寺のあたりや、城山公園の裏手あたりには、ほんの少し異世界感も漂っているように思えてきます。

 

黒美鈴の魂を身を挺して救った美鈴は、少し明るくなったようです。しかしそんな美鈴が大泣きしてミミをたすねてきたのは何故なのでしょう。どうやら美鈴は、部屋に現れるようになった、夜じゅう遊びまわる子どもの霊を妊娠の予兆と捉えていたようだったのですが。相談を受けたミミは、美鈴と共に正体を調べ始めます。

 

その一方で実は姉妹だという老婆と少女の占い師の、姉のほうが亡くなります。お悔みの花輪を届けにいったミミは、本当に力があったのは姉だったのでもう廃業を考えているという少女形の妹から、ちょっとしたヒントをもらいます。ざしきわらしのような存在は、やがて生まれくる子供なのか、美鈴の亡くなった弟なのか、それとも美鈴の別人格なのか。でも運命は変わるもの。愛によって良い方向に変化することは「祝福」なのでしょうが、その逆には気を付けなければいけません。

 

物語には「嵐の予感」が漂い始めます。著者は「先ゆきバレバレ」と言っていますが、次巻での展開を楽しみにしておきましょう。「全てがへなちょこな墓守くんのへなちょこ度合いにかかっている」あたりが謎すぎます。

 

2023/10