りぼんの読書ノート

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湖底の城 2巻(宮城谷昌光)

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呉の公子光が大船団を率いて楚に侵入しますが、両軍は一勝一敗。しかし楚の令尹(首相)子瑕は、平王の信頼を失います。そして楚の婚礼に際して事件が発生。太子健のもとに嫁いでくる隣国・秦の姫君を、なんと実父である平王が横取りしてしまったのです。どうやら佞臣・費無極の進言であったようですが、果たして翌年、平王と秦の公女との間に男子が誕生。太子健は北方に遠ざけられ、さらに反乱の罪を着せられて鄭に亡命。 

 

太子健の太傅である伍奢は平王に拘留されます。さらに伍尚と伍子胥に対しても、父親の命を救うために出頭せよとの命令が届けられますが、これは一族を一網打尽にするための罠であることは一目瞭然。しかし既に楚の家臣として棠邑を治めている長子の伍尚はその命令に背くわけにはいきません。せめてもの抵抗は直臣ではない弟の伍子胥を逃亡させることだけでした。 

 

もちろんて伍子胥は、父と兄をむざむざ失うわけにはいきません。奸臣・費無極による処刑の前夜、決死の覚悟で首都に潜入し、2人を救い出そうとするのですが・・。 

 

平王に復讐を誓った伍子胥が、楚を出獄する際に親友の申包胥と出会ったエピソードが史書に記されています。「必ず楚を滅ぼしてやる」と言う伍子胥に対して、申包胥は「ならば、私は臣として楚を守ろう」と言ったの言うのですが、まあこの種の話は後付けなのでしょうね。伍子胥の流浪が始まります。 

 

2020/6