ＴＶドラマ化されたお仕事小説の続編です。絶対に残業しない主義の結衣が、なんと管理職になってしまいます。しかも上司は元婚約者でワーカホリックな晃太郎。新人教育を任されたものの個性的すぎる若者たちに翻弄される毎日。
そんな中、差別的なＣＭで炎上中のスポーツウェアメーカーのコンペに参加することになるのですが、そこはパワハラやセクハラや下請けいじめがはびこる超前時代的なブラック企業でした。早くもギブアップ宣言した結衣ですが、晃太郎は身を削って契約を取りに行くのです。実は彼はホワイトな働き方のロールモデルに祭り上げられてしまった結衣を守りつつ、裁量労働制の導入を阻むために、実績を上げるように厳命されていたのです。それに気づいた結衣は、どのような行動を取るのでしょう。
結衣が戦うブラック企業のメンバーも、ストレスフルな職場で働く事を強いられているのです。長時間労働は非効率で、余裕のない人ほど他者の尊厳を損なう行為を行うのに、なかなか根絶されませんね。本巻では東南アジアからのエリート研修生を受け入れたり、結衣に中国企業からヘッドハンティングがかかったりして、日本的なブラック企業の異常さが際立つ内容になっています。
結衣に続く男性グータラ社員たちの存在が救いですね。会社の論理に取り込まれることなく自分を大切にする若者たちは、会社人間世代のおじさんたちの怒りを買いそうですが、こういう人たちに勝ち組になってもらわないと、日本は変わっていかないように思えます。
2019/12
