りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

戦うハニー(新野剛志)

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主人公は、大手企業を退職して28歳で認可外保育園「みつばち園」に勤め始めた星野親。新米男性保育士の悪戦苦闘がコミカルに描かれる中で、現代保育事情にまで視点が及んでいる作品です。
 

 

慣れない仕事にとまどうのは主人公だけではありません、開園以来初の男性保育士を迎え入れた保育園側もぎこちないのですが、そのあたりはベテラン園長のコントロール内。それでも保護者からの偏見や、モンスターペアレント生活保護家庭、育児ネグレクトやDV、父母同士の不倫などの問題が、次々と巻き起こってきます。ついには運営形態の根幹である混合保育を市から問題視されるに至って、園長はある決断を迫られてしまうのですが・・。 

 

本書で指摘されるもうひとつの問題は、保育士の給与水準です。私立保育園の保育士の給与は、公務員である公立保育園の保育士と比較しても低水準であり、これが男性保育士の比率が上がらない最大の原因だとのこと。主人公の「みつばち園」勤務も、公立保育園への採用がなるまでの腰掛けなのです。現実の格差問題や、保育園が担うセーフティネットとしての社会的な役割を、恥ずかしながらあらためて知った次第です。 

 

2019/9