りぼんの読書ノート

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下町ロケット3 ゴースト(池井戸潤)

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大田区の町工場
「佃製作所シリーズ」の第3作です。主力のロケットエンジン用バルブシステムの納入先である帝国重工の業績悪化と、激化する一方の価格競争の中では、高い技術力を有する佃製作所においても、新商品の開発は不断の課題です。佃が見出した新たなビジネスチャンスとは、農機具のトランスミッション用バルブの開発でした。 

 

佃が見出したビジネスパートナーは、やはり下町のベンチャー企業「ギアゴースト」。しかし帝国重工からスピンアウトした企画・開発者を母体とするギアゴーストにも、特許侵害訴訟という経営の危機が迫っていたのです。かつてライセンス戦争に勝利した佃製作所のノウハウが役立ち、両社は理想的なパートナーシップを結べるかと思われたのですが・・。 

 

本書はこれだけでは完結していませんね。帝国重工の新社長と目される的場は、ロケット事業からの撤退を指示するのみならず、ギアゴースト社長の伊丹らとも因縁を抱えています。主力事業を失う佃製作所の巻き返しが展開されていくであろう次巻とセットの物語なのでしょう。近年、ドラマや映画の原作として引っ張りだことなっている著者の作品ですが、少々漂いつつあるマンネリ感も打開して欲しいものです。 

 

2019/9