りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

クリムゾン・リバー(ジャン=クリストフ・グランジェ)

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「ページターナー」という人種は、確かに存在するのですね。著者もまた、「この後どうなるの?」という読者の興味を掻き立てて次々と先のページをめくらせてしまう書き手の一人です。

花形警視が捜索を進める、アルプス山間の大学街での連続殺人事件。両目を抉られ、両腕を切断されて次々と発見される、惨殺死体の謎。同じ頃、全く離れた別の町で起きた、不可解な墓荒らし事件。14年前に10歳で亡くなった、ジュード・イテロ少年の写真が、学校にも同級生の家にも、一枚も残っていないのは何故なのか?

全く無関係に見える、2つの事件が「クリムゾン・リバー」という謎の言葉で交わり、2人の個性派警官の道もまた交差していきます。1人は過去への道をたどり、1人は次の犯行の阻止へと向かう。

浮かび上がってくる真相は、冷静に考えれば荒唐無稽なのですが、読んでる最中にはそんなことを感じさせない、大きなスケールの犯罪劇と、悲しい復讐の物語でした・・。

この人の本、『狼の帝国』と『コウノトリの道』に続いて3冊目ですが、いずれも、スケールの大きさと奇抜さで読ませてくれます。ただ映画化されたため、主人公のイメージがどうしてもジャン・レノになってしまうのが、難点といえば難点でしょうか。^^;

2006/9