りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

氷の家(ミネット・ウォルターズ)

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カントリーハウスの氷室で発見された、正体不明の惨死体。死体の正体が10年前に失踪した当主のストリーチ氏なのかと皆が色めき立つ中で、ストリーチ夫人のフィービと、今は彼女とともに暮らしているアンとダイアナの3人の女性に疑いが向けられます。ただでさえ、女性だけの同居生活というだけで魔女とかレズビアンとか噂されている3人なのですし・・。

ミステリーですが、ヒントを並べて「謎解き」を楽しむ本ではなさそうです。むしろ強調されているのは、偏見を持った捜査がもたらす弊害や、狭い地域コミュニティが孕みやすい、異物に対する排斥や憎悪の感情。次々と現れる新事実から明らかになるのは、「旧き良きイギリス」が抱えている問題なのです。

とはいえ、殺人事件の真相は意外なものでした。10年前のストリーチ氏の失踪の謎も解かれるのですが、こんな解決でいいんでしょうか? そもそも、真相にたどり着いたマクロクリン部長刑事は、警察を辞めようとさえ思ってしまうのですから。さりげないユーモアやウイットに富んだ会話は文句なしに楽しめますが・・。

2007/12(機内にて)