りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第0幕2(雪村花菜)

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人皇后として伝説を残す関小玉の活躍は、紅霞後宮物語として、現在7巻まで出ています。こちらの「第0幕」は、小玉が皇后に登り詰めるまでの物語。

前巻の第0幕1では、貧農の家に生まれ、足の悪い兄の身代わりとして徴兵された小玉が、軍才を見せて抜擢され、軍人として生きる覚悟を決めたところまでが描かれました。

その後も異例の速度で昇進した小玉は、弱冠20歳で校尉まで昇進。相変わらず男運はないものの、姉キャラの明慧を筆頭に仲間や上官にも恵まれて職務に邁進していたのですが、新たに配属された部下は最悪でした。その男・周文林は、眉目秀麗にして武科挙に合格した、3歳年下の超エリート。一目見て「こいつとは絶対そりが合わない」と思った直感は正解でした。2人は何かと衝突を繰り返すのですが、やがて実戦に向かう日が訪れます。

文林が未来の皇帝であり、小玉の未来の夫となることは、本編の読者なら周知の事実ですね。反発を繰り返しながら、互いの美点を認め合っていく過程には、著者自身「甘酸っぱさ」を楽しんでいるとのこと。映画「スターウォーズ」の「エピソード1~3」には未来がわかっている辛さがあったのですが、
こちらの方は予定調和であっても、その過程が楽しめそうです。

ところで本巻では、小玉の軍才の一端が描かれています。敵軍の「結節点」を見極めて手勢で突撃し、自軍を勝勢に導いたとのことですから、これは天性のものですね。北方謙三氏の楊令伝すら思わせる描写です。

2018/7