りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第0幕3(雪村花菜)

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稀代の天才と呼ばれた女性軍人でありながら30代にして突如皇后となり、帝国に中興期をもたらして後に神格化された関小玉の活躍は、本編で綴られています。本書は彼女の伝説の始まりを記した「第0幕シリーズ」の第3巻。

前巻で最悪の部下として配属された周文林は、もちろん後に夫となる未来の皇帝です。性格の不一致から衝突を繰り返した結果、上官と副官として息が合ってきたのですが、ここでまたしも人事異動。わがままな13歳の帝姫の近衛部隊長というのは、地位は高いものの微妙なポジション。もちろん、ここで小玉に懐いた姫君とは、後の王太妃・雯凰ですね。

しかし次の僻地への異動は本当の左遷でした。小玉は気にしていないものの、それを聞いた文林は怒り狂います。しかもその左遷には、文林を守るためという裏の事情があったというのですから、たまったものではありません。ここで文林が遠縁にあたる皇室に取り入る決意をすることが、後の皇帝即位の伏線になるのですね。

本書のハイライトは、記憶を失うまで酔いつぶれた2人が、翌朝同じ寝台で目を覚ます場面です。果たして2人はあやまちを犯したのでしょうか。このあたりの軽さがラノベの真骨頂ですが、最近のラノベ水準は高いですね。このシリーズも、しっかりした世界観が巧みな語り口で綴られているので、楽しめるのです。

2019/5