りぼんの読書ノート

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紅霞後宮物語 第9幕(雪村花菜)

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国史に関する豊富な知識をもとに書き著わされた軽妙なシリーズも、なんと9作目になりました。さらに本編開始前の「ヤング小玉編」にあたる『第0幕』も既に3作発行されているので、全部では12作。登場人物も増えてきたので、本巻からは人物紹介や相関図もつきました。 

 

前巻までに、隣国連合との戦いに勝利した軍人皇后の小玉の周辺ではさまざまなことが起きました。皇帝・文林の長男でありながら小玉暗殺を目論んだ鳳と生母・淑妃の死。外戚であった司馬氏の追放。後宮を支えていた女官・梅花の病死。小玉の物語を書き綴っていた雅婉の胡族との婚礼。子をなさない決意とともに愛を確認しあった文林と小玉。とりあえず前巻までが「第一部」であったようです。 

 

本巻から第2部の開始となるわけですが、皇帝文林は相変わらず不愛想だし、小玉を信奉する真桂と紅燕は変わらないし、軍人皇后としての神話すら生まれるほどの小玉の周辺では、もはや事件など起こり得ないはずだったのですが、物事はそう簡単には進みません。実子を持つことのない小玉には、皇帝の跡継ぎ問題がのしかかってきたのです。小玉に養育されている第3子・鴻の立太子問題が浮上する中で、後宮も揺れ動き出します。そして新たな陰謀の芽が・・。 

 

軽妙な会話と描写と雰囲気だけでも楽しめる作品ですが、もう少し動きがあっても良いのでは? まさか後世で神話化されるほどの小玉の軍事的偉業が、これで終わりということはありませんよね、 

 

2019/11