りぼんの読書ノート

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チンギス紀 4(北方謙三)

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それぞれ強大な隣国であるケレイトとメルキトの本格的な戦闘がついに始まりました。ケレイトのトオリル・カンに連なる娘を妻に迎えたジャムカは、テムジンとともにケレイト軍の先鋒を担い、メルキト軍に痛撃を与えます。しかし2人が戦場を去った後、ケレイトの本隊はメルキトの族長トクトアの奸計に嵌って大軍勢を失います。2人の名声は高まったものの、勢力を維持したメルキトとはっきりした敵対関係に入ったわけです。 

 

一方でテムジンの国づくりは着々と進んでいるようです。金国から招いた職人に作らせた製鉄工廠は順調に立ち上がりました。同じモンゴル族の宿敵タイチウトとの決戦も近づいているものの、テムジンの気にかかるのは、やはり玄翁の存在です。ジェルメから得た情報や、諜報を生業とする狗眼一族との契約によって、玄翁の正体はわかりかけてきたものの、彼の精鋭部隊に対する軍を創り出すことは可能なのでしょうか。 

 

タイチウト氏はトドエン・ギルテを失ったものの、もうひとりの長タルグダイによって纏まりを崩さず、キャト氏の大半を取り込んで、依然としてテムジンの前に立ちふさがっています。本巻の後半は、来るべき決戦に備えた章ですね。次巻から物語は大きく進んでいきそうです。前半の名場面となるべきジャムカとの決裂は、もう少し先になるのでしょう。 

 

2019/11