りぼんの読書ノート

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チンギス紀 6(北方謙三)

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タタールが金国から離反したことで、これまで金と西遼それぞれの北方政策に操られてきた草原のパワーバランスに変化が訪れます。金に与すると宣言したチンギスとケレイトの助力で、タタールは完膚なきまでに叩きのめされます。金から王の名称を下賜されたトオリル・カンに対して、チンギスは金の百人隊長に任じられただけですが、これは名よりも実を取った結果。

 

金とタタールの国境地帯に砦を設けて、タタールの族長や将校の残党を徹底して打ち取ったチンギスは、タタールの勢力を配下に入れることができました。さらにチンギスは、父親を謀略で殺害させた同族のサチャ・ベキを打ち取って、キャト氏族の全てを傘下に治めるのです。ここまでくるともはや国家ですね。ボオルチュは内政を預かることになりそうです。ジェベやムカリという、若い力も育っています。

 

しかし、大国ナイマンや、メルキトや、タイチウト氏族や、さらにチンギスの盟友であったジャムカまでもが、金国の下風につくことを断固として拒絶。はたしてジャムカとチンギスは、このまま袂を分ってしまうのでしょうか。そして反金国連合なるものが形になっていきそうな中で、チンギスとケレイトは草原で孤立してしまうのでしょうか。次巻ではさらに大きな動きが起こりそうです。

 

2020/10